
1.固定資産税(償却資産)の対象
償却資産とは、土地や家屋、自動車を除いた、事業用に供する有形固定資産のうち、時間の経過や使用によりその価値が減少していく資産を指します。
それらの資産に対して課される固定資産税(償却資産)は、市町村が課税主体となる固定資産税の一部として位置づけられています。
一方で、土地や家屋そのものは別に課税されるため、「固定資産税(償却資産)」の対象となりません。また「自動車税」の課税対象となる自動車及び「軽自動車税」の課税対象となる原動機付自転車・軽自動車・小型特殊自動車・二輪の小型自動車も「固定資産税(償却資産)」の対象となりません。
具体的には以下のようなものが固定資産税(償却資産)の対象となります。
| 資産の種類 | 内容 | |
| 第1種 | 構築物 建物附属設備 | 駐車場の舗装、屋上看板等の広告設備、門、塀、緑化施設等 1. 家屋の所有者が取り付けた建物付属設備のうち、受変電設備、中央監視制御装置、特定の生産又は業務用の設備など 2. テナントの方が賃借している家屋に施工した内装、造作、建築設備(これらを特定付帯設備といいます) |
| 第2種 | 機械及び装置 | 工作機械・印刷機械等の各種産業用機械、駐車場機械装置等 |
| 第3種 | 船舶 | 遊覧船、ボート、はしけ等 |
| 第4種 | 航空機 | 飛行機、ヘリコプター |
| 第5種 | 車両及び運搬具 | 大型特殊自動車に該当するブルドーザー、クレーン車、フォークリフト等、台車等 ※自動車税・軽自動車税の対象になる乗用車、トラック等(これらと同じ所有者が取り付けたカーラジオ、カーナビゲージョンシステム等を含みます)は対象外です。 |
| 第6種 | 工具・器具及び備品 | 事務机、事務いす、陳列ケース、テレビ、パソコン、プリンター、ルームエアコン、金庫、ゲーム機器等 |
2.固定資産税(償却資産)の申告と納税
課税の流れは次のようになります。
(1) 申告
企業や個人事業主は毎年1月31日までに、前年中に取得した償却資産を各市町村へ申告します。
対象は1月1日現在において、事業を営むために所有している資産です。
申告漏れや過少申告があると、後に追徴課税や過料が課される場合もあります。
・減価償却の税務上の取り扱い
| 取得価額 | 国税の取扱い | 償却資産税の対象 | |
| 個人の場合 | 10万円未満 | 必要経費 | 対象外 |
| 10万円以上 20万円未満 | 3年間一括償却 | 対象外 | |
| 減価償却 | 対象 | ||
| 20万円以上 | 減価償却 | 対象 | |
| 法人の場合 | 10万円未満 | 損金算入 | 対象外 |
| 10万円以上 20万円未満 | 3年間一括償却 | 対象外 | |
| 減価償却 | 対象 | ||
| 20万円以上 | 減価償却 | 対象 |
・除却資産の処理
既に廃棄・売却して使用していない資産を申告し続けてしまうケースがよくあります。実務では、資産台帳の整理と併せて、除却漏れに注意が必要です。
(2) 評価
市町村は、申告された内容を基に資産の「評価額」を算出します。評価額は、取得価額から法定耐用年数に応じて減価償却した残存価額により決まります。
(3) 課税
評価額に対して1.4%(標準税率)の税率を乗じて、固定資産税(償却資産)が課されます。
※課税標準額の合計が150万円未満の場合は免税となります。ただし、申告は必要です。
3.おわり
自動車や土地及び家屋など資産の中でも別で課税されるものがありますので、そちらの理解も必要です。
償却資産は、「固定資産税」の一部として位置づけられており、資産の種類や税務上の処理などにより、様々なケースで課税の対象になるものとならないものがあります。
適切な資産管理と正確な申告は、余計な税負担を避けるだけでなく、経営の健全性を高めることにもつながります。企業にとっては「税務上の義務」であると同時に、「経営管理の一部」として捉えることが重要です。
監修:佐藤 拓真