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更新日: 2024年12月23日
確定申告が必要になる人とは

確定申告とは、1年間に得た所得に対して適正な税額を計算し、税務署に申告する手続きです。多くの人にとって確定申告は少し煩雑な手続きに思えますが、収入の種類や額に応じて、申告が必要かどうかが決まります。本記事では、どのような人が確定申告を行う必要があるのかについて詳しく解説していきます。

確定申告が必要な主なケース

1. 自営業者やフリーランスの方

まず、確定申告が必要になる代表的な人は自営業者やフリーランスの方です。給与所得者と異なり、事業収入から経費を差し引いた額がそのまま課税対象となります。そのため、自分で所得税の申告と納税を行う必要があります。たとえば、ウェブデザイナーやプログラマーなどフリーランスで活動している人、または飲食店や小売店を経営している個人事業主が該当します。

自営業者の場合、売上から経費を差し引いた後の所得が48万円を超える場合に確定申告が必要です。また、経費としてどこまで認められるかという点についても慎重に検討する必要があり、例えば仕事用に使ったパソコンの購入費や事業にかかる通信費などが該当します。

2. 副業で所得がある給与所得者

会社員や公務員として働きながら、副業で所得を得ている方も確定申告が必要になることがあります。具体的には、副業による所得(経費を差し引いた額)が年間20万円を超える場合に、確定申告が必要です(年間20万円未満の方でも住民税の申告は必要です)。この「所得」とは、売上から経費を引いた後の純粋な利益のことを指します。

例えば、週末にオンラインショップを運営している場合や、YouTubeチャンネルを運営して広告収入を得ている場合なども対象となります。特に最近では、クラウドソーシングでの仕事やインフルエンサー活動による収益なども増えており、副業所得を持つ人は注意が必要です。

3. 複数の収入源がある場合

給与を2カ所以上から受け取っている場合も確定申告が必要です。例えば、正社員としての収入の他に、パートタイムで別の会社から給与を受け取っている場合、複数の所得を合算して税金を計算する必要があります。この際、年末調整ができるのは主たる勤務先のみであり、それ以外の勤務先からの給与については確定申告で適切に申告しなければなりません。

また、年金受給者であっても、年金以外の収入がある場合や、年金受給額が一定額を超える場合は確定申告が必要になることがあります。具体的には、公的年金等の収入が400万円を超える場合や、その他の所得が20万円を超える場合が該当します。

確定申告が必要になるその他のケース

1. 不動産所得がある場合

不動産を賃貸に出している場合、賃料収入から経費を差し引いた後の所得があると、それに対して税金が課されます。このような不動産所得がある場合も確定申告が必要です。賃貸マンションやアパートのオーナー、駐車場の貸し出しなどが該当します。

不動産所得の経費として認められるものには、修繕費や管理費、固定資産税などがあります。ただし、必要経費として計上できる範囲については税法で細かく定められているため、正確に把握することが重要です。

2. 株式や投資信託などの売却益がある場合

株式や投資信託などの金融商品を売却した際に得た利益(譲渡所得)も確定申告が必要なケースがあります。一般的には、特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合には自動的に税金が徴収されますが、源泉徴収なしの口座で取引をしている場合や、損失を繰り越したい場合には自ら確定申告を行う必要があります。

また、仮想通貨(暗号資産)の売買による利益も確定申告が必要です。仮想通貨の取引は価格の変動が大きく、利益も大きくなることがあるため、正確に申告しないと後々追徴課税される可能性があります。

3. 住宅ローン控除を受ける場合

住宅を購入した際に住宅ローン控除を受けるためには、初年度に確定申告が必要です。住宅ローン控除とは、年末時点でのローン残高に応じて所得税が減額される制度で、住宅取得の際の負担を軽減するために設けられています。給与所得者の場合、2年目以降は年末調整で控除を受けることができますが、初年度だけは確定申告を通じて手続きを行う必要があります。

4. 医療費控除や寄付金控除を受ける場合

1年間に支払った医療費が一定額を超える場合、医療費控除を受けることができます。この場合、確定申告を通じて医療費控除の適用を受ける必要があります。同様に、ふるさと納税などの寄付を行った場合にも寄付金控除を受けるためには確定申告が必要です。

医療費控除は自分だけでなく、家族の医療費も含めることができるため、高額な医療費がかかった年には税負担を軽減するために積極的に活用しましょう。

確定申告をしないとどうなる?

確定申告をしなければならない人が期限内に申告を行わない場合、無申告加算税や延滞税が課されることがあります。無申告加算税は、納付すべき税額に対して10%(一定の条件を満たせば5%)が課されるペナルティです。また、申告が遅れれば遅れるほど延滞税も増えるため、確定申告は期限内に行うことが重要です。

さらに、意図的に所得を隠していたと判断された場合には、重加算税として最大40%が課されることもあります。このようなリスクを避けるためにも、確定申告が必要な場合にはきちんと対応することが大切です。

確定申告が不要な場合もある?

一方で、全ての人が確定申告を行わなければならないわけではありません。例えば、給与所得者であれば通常は勤務先が年末調整を行ってくれるため、追加の所得がない限り確定申告は不要です。また、銀行の預金利子などは源泉徴収されており、特に申告の必要はありません。

ただし、還付を受けるためにあえて確定申告を行うことも可能です。例えば、医療費控除や寄付金控除、住宅ローン控除などを利用することで、払いすぎた税金の一部が還付される場合があります。そのため、確定申告が不要であっても、節税の観点から申告を検討する価値はあるでしょう。

まとめ

確定申告が必要かどうかは、その人の収入の種類や額、また受けられる控除の有無によって異なります。特に自営業者やフリーランス、副業を行っている給与所得者、不動産所得がある人などは確定申告を忘れないようにしましょう。また、医療費控除や寄付金控除、住宅ローン控除を利用する際にも申告が必要です。

税務署への申告は手間がかかるかもしれませんが、適切に対応することで余分な税負担を避け、逆に還付を受けることも可能です。自身の状況に応じて、確定申告を行う必要があるかどうかをしっかりと把握し、必要に応じて早めに準備を進めましょう。特に、期限を過ぎてしまうとペナルティが課される可能性があるため、スケジュール管理も重要です。

確定申告に関する疑問がある場合は、会計事務所に相談などして正確な情報を得ることをおすすめします。自身の経済状況に合った適切な税務処理を行うことで、より健全な資産管理が可能になります。

監修:佐藤 拓真